建築京都

京都、畳探訪。

前回に引き続き京都の模様をお送りいたします!

表替えミッションを無事に終えたので、予備日は観光に!
なにせ京都ですからそこら中にお寺さんがあります。
回れる範囲で訪問し畳を見ていこうと、考えていました。
本当は桂離宮、千利休が作った待庵など国宝級の建築を見て回りたいのですが、要予約なんですよね。
しかも一ヶ月前とかに予約しないと行けないとか多くなかなかハードルが高いんです。

さすが重要文化財たちガード固いです。

個人的には藤井厚二が設計した自邸『聴竹居』を見たかったんですが、こちらも一ヶ月前の要予約。
環境工学に基づき日本の風土に適した設計を目指し、その集大成として建てられた聴竹居。
もちろん畳も使われています。

サントリーで有名な山崎のあたりにあり、待庵も近いので、いつかリベンジしたいですね。

気を取り直して近場の大きいお寺から回ることにしました!

京都タワーもバッチリ。

まずは東本願寺から。
なんと畳が927枚もあるそうです。
ありすぎですね。張替えするのに何人必要なんですかねいったい・・・

東本願寺・本堂
障子の建具も大きい!

写真の格子の建具は蔀戸(しとみど)と呼ばれるもの、障子が出来る前に使われていた建具です。
平安時代の寝殿造からの発祥で、なごりで寺社に使われてますね。
ゴロゴロ古いものが出てくるんですからさすが京都。
内部は写真撮影禁止の為あしからず。

あ、ちなみに二日酔いで機嫌の悪い常川先輩はこちらです。

こ、こわい・・・

つ、続きまして渉成園へ!
東本願寺から東に歩きすぐです。
もともと東本願寺の十三代宣如上人の隠居所だそうで、中国の詩人である陶淵明(とうえんめい)『帰去来辞』の一説、「園日渉而以成趣(園、日に渉って以って趣を成す。)」からとって名付けられたそうです。
その後歴代の隠居所として受け継がれていき、詩歌、茶の湯、能など嗜む場として整備されていったそうです。
東本願寺歴代は千利休をはじめ茶の湯との関わりも深いそうで園内にはいくつも茶室があります。

詳しいでしょう?
そうパンフレットに書いてあります。

ごめんなさい、カンニングです。
ここからはなるべく自分の言葉で書きます。

園内は庭園をぐるりと回遊でき、ぽつぽつと茶室があります。
僕が思ったのは庭園の広さや高低差を活用した工夫がそれぞれの茶室にあり、とても遊び心を感じました。

いくつか紹介していきたいと思います。

臨地亭

臨地亭(りんちてい)二方に渡り縁があり水平線が強く強調されています。
池や川など水辺に建築を組み合わせるの設計は世界にいっぱいありますが、木造の柔らかい質感があるのはやっぱり日本建築、特有の味がありますよね。

この隣に代笠席(たいりつせき)という茶室がありましたが、開いてないため見れず。
パンフレットを見る限り踏込床で落としがけが床の間と平行ではなく斜めに掛かっています。
さらに違い棚はなく床柱から斜めにでた棚が壁に収まっていきます、ちょうど三角形に天板がくる感じですね。
うん、言葉で説明しづらい!

要はですね平面構成に縦横のグリットだけでなく斜めの線があるって事です。
これが空間に動きをつけるんですね。しかも茶室だから、その印象はとても際立つ事でしょう。
さらに一間半(ざっくりいうと2m70cm)にも及ぶ下地の竹の風合いが見れる下地窓。こうでなきゃならないを逸脱した数奇っぷりにワクワクしますね。あ〜見たかったな。

続きまして傍花閣(ぼうかかく)

傍花閣

うーん、なんですかねこの建物はお花見をする為の建物って事でしょうか。
名前はそんな感じですよね、二階に四畳半があるそうなのですが茶室では無いようですね。
実にインパクトある外観で、なんともエンターテイメント性を感じますが、檜の皮を使った檜皮葺の屋根や鉄を混ぜサビの風合いを楽しむ左官の蛍かべ、錆聚楽などしっかりした伝統技法がより形の奇抜さを際立たせますね。

縮遠亭

池の中央に浮島があり、そこが園内で一番高い位置となっており、そこにある茶室が縮遠亭(しゅくえんてい)。
二畳台目の茶室と四畳間、そこから渡り廊下があり一段高く作られた三畳間があります。
写真右手側が高くなってますね、ここから京都を見渡せたそうです。
僕、茶道はやらないですが二畳台目の茶室はかなり狭い方です、ギチギチですよ。しかも四畳半以下は小間って言うんですが、だいたい薄暗いです。
薄暗い中、そこでお茶を頂き、京都を一望できるお部屋に通されたら?きっと、かなりの開放感があるんでしょう。
そういった『おもてなし』なのかもしれませんね。

建築でいうと美術館とかによくあります、狭い通路を歩かせた後に大空間を作るとか。
でも、お茶と京都じゃ太刀打ち出来ないでしょう。
あと昔から思ってるんですが、せめて平面図くらい見たいですよね。簡易なやつでいいから。

続きまして閬風亭(ろうふうてい)。
園内で一番大きい建物で畳をあげると能が演じられる作りになっているようです。
ちょっと不思議なのは屋根が瓦葺と檜皮葺きが混じっているとこですね。
なんでだろう、すごく気になります。

こちらの右手側に二階建ての盧菴(ろあん)があり二階が茶室になっています。
これも図面が無いので何とも言えませんがパンフレットだと四畳半の小間で大きく開口があり、大変眺望の良い室内のようですね。二階から望む樹々はまた違った印象でしょう。
高低差うまく利用した借景ですね。

回棹廊(かいとうろう)

最後はこちらの回棹廊(かいとうろう)。
浮島をつなぐ橋で唐破風屋根が印象的です。
なんと屋根を吹き替えたばかりで板葺き、こけら葺きですかね?
ものすごく綺麗でした。

他にもありましたが、渉成園はここまで。
寄付という形で500円以上払えばパンフレット共に見学できますのでぜひ。
渉成園:http://www.higashihonganji.or.jp/worship/shoseien/

さあどんどんいきますね。
次に行きましたのは『東寺』。
五重塔やら薬師如来やら大日如来・立体曼荼羅や千手観音がある超重鎮です。
あそうそう、弘法大使さんを忘れちゃダメですね。
中学生の頃、修学旅行できましたが、改めて見ると面白いですね!

スカイツリーにも技術を応用された五重塔。

東寺北側に洛南高校があるのですが、その出入り口も油断なりません。
本瓦を互い違いにして輪違いの模様を作ってます。
こういうの見つけるとぞくっとしますね。隠れミッキー的な。

その向かいにあるのが観智院。
東寺一山の勧学院、大学の研究室のようなものだそうです。
観智院:http://toji.or.jp/guide/kanchiin/

ここも内部は撮影禁止なのでパンフレットを。

観智院、めちゃめちゃオススメですよ!
書院造が確立する少し前に建てられたそうです。
客殿の上段の間が特にわかりやすく、『床の間』ができる原型の『押し板』であり、壁は貼り付け壁で間口が二間(だいたい3m60cm)あり、違い棚は畳わりで決められ半間だけ。
長押も床柱を巻き込んだ『枕捌』という一番上位の工法。
さらに上に蟻壁長押と柱の出隅を消した蟻壁。
中世と近世が入り混じった感じになってます。

授業で習った事ばっかり!角野先生ありがとうございます!

この上段の間の貼り付け壁、墨絵が描かれているのですが作者が凄いですよ。
なんとあの二刀流『宮本武蔵』だそうです。
バガボンドめちゃ読んだので悶絶ものでした。。。
吉岡一門と決闘をしたあと観智院で身を隠したそうです。アーティストだな〜 。

観智院、セキュリティが万全なんです!
床は『うぐいす張り』で音がキュッキュッってなります。羅城の間には隣室にボディガードが待機できる『帳台構え』、天井は紙で仕上げられています。曲者が天井裏に忍び込めない様に!勧学院なのになぜこんなに万全なセキュリティなんでしょうか、今度行ったら聞いてみよう。

あ、畳もすごい見所あります。
二部屋は以前ご紹介した『中継ぎ表』が使われています。さらに手で仕上げられた貴重な芯材『手床』もあり、フカフカなのですぐわかります。
本堂には割と最近張替えしてあるようでしたが、表が綺麗でした、相当良質な畳表でしょう。

さらに茶室もあります!
『楓泉観』(ふうせんかん)と呼ばれ四畳半と六畳だったかな?
二部屋あり、窓から見える露地は緑がうっそうとし森に囲まれていような印象でした。
貴人畳に座るとすぐ背中に鹿おどしや手水鉢の水の音が心地よいです。
床の間の洞床に吸い込まれそうな気持ちになります。
最高。

茶室に向かう坪庭だけでも!

ちょっと茶室が良すぎたのでまとめてあるブログいくつか貼るので見てください。
そして気づいたのですが中から外に向けては写真撮っていいのか〜!

観智院:http://toji.or.jp/guide/kanchiin/
http://kyotomoyou.jp/kanchiin-20171006
https://ameblo.jp/kyo-bonbon/entry-12292566503.html

ここは東寺とセットで1000円、観智院だけだと600円です。

長くなりましたがまだまだ行きますよ〜!

平安時代の暮らしが見れます!
だいぶ元気になってきました。

続きまして『風俗博物館』。
風俗という事で何やら気になるところですが、残念ながら袿姿(うちきすがた)のガードの硬い女子しかいません。

・・・え??なんでもないです。

平安時代の装具を再現した展示や竹取物語を1/4スケールで再現した模型の展示がされています。
当時の畳がどのように使われていたかも忠実に再現され見応えがあります。

びっくりしました、紋縁の再現度が半端じゃないです!
表も目積織のい草で、縁は絹かな?
畳以外の彫金や木組みなど並並ならぬ熱意を感じます・・・

このちいささですよ!

さらに藁を編んだ菰(こも)の再現にはい草が使われていました。
菰を積み重ね藁床に変化しい草が巻かれ畳になる、そんな流れも踏まえてなんですかね・・・

ここから京都の中心を離れ嵐山を目指し移動しました!
常川先輩たっての希望です。

「竹林が見たい。好きなんですよね竹林。響きがいいじゃないですか。」

「・・・響きですか?」

「『ちく』がね。」

「・・・じゃあ、『うんちく』とか『ちくわ』『筑前煮』もですか?」

「・・・いいよね。」

めっちゃ愛してるじゃないですかぁ!もう行くしかないですね竹林。
嵐山ついたら凄いんですね人が、もう歩くのやっとで。
午前中はずーっとお寺さん回っていたので、ここで一息お昼ご飯です。
琥珀堂という洋食屋さんに。通りの喧騒が嘘のような落ち着いたお店でした。

ヒゲきたなし!

ただねぇ、ちょっとお高いんですけど、いっか!たまには!
いっちゃいましたよフォアグラハンバーグ!
結婚式以外で初めて食べた・・・

がぶ!
うま〜い!!
さらにスウィ〜ツも!

常川先輩「僕、イチゴのお菓子食べれないんですけど、これは食べれます!」
よかったですね〜。

さぁ、お腹いっぱい気合い十分でいよいよ最終章、『嵐山竹林編』です!
正直、なめてました竹林、竹がいっぱいあるだけでしょ?
でもなんでしょ、独特な雰囲気がありますね。
長い回廊の様な整然とした感じもあり、自然に囲まれた澄んだ空気もあり。
森林とまた違う良さがありますね!

テンションマックス!

写真でも分かるように凄い人!
ほとんど海外からの観光客です。インバウンド凄いな〜。
あと人力車が幅をきかせてるので御注意ください。

ここで常川先輩の竹林論をどうぞ。

あ、ちなみにセンチメンタルなジャーニーを感じる線路がありましたが入ってません。
これにて無事に京都の旅を終え、東京に向けて出発。
帰りの道中ではカラオケもし、最後までワイワイで帰りました♪

やっぱり1日じゃ回りきれないですね京都、またじっくり計画して文化財めぐりしたいものです。
以上、京都表替え大作戦でした!!


『西田畳店』創業140年。
『リフォーム二シダ』内装全般なんでも。
西田光二
住所:東京都三鷹市牟礼6-12-9
TEL 0422-44-3320
FAX 0422-49-9207
MAIL t-r-nishida@jcom.zaq.ne.jp

 

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