畳訓練校手縫い

今週の訓練校!

五代目、奮闘記『今週の訓練校』
手縫いの作業を学ぶ畳訓練校の模様をご紹介します!

すっかり、更新が遅れましたが畳訓練校の模様をお届けいたします。

みなさん、『板入れ畳』ってご存じですか??
読んで字のごとく畳の中に板が入っているんですよ。
実はこれ、畳の中でもかなり上級なランクの畳なんです。
寺社仏閣などの畳はこれだったりします。一般のお宅でも少ないですがありますね。ほとんどないですが。
畳の一級技能士の課題試験でもあります。

今回はその『板入れ畳』の制作模様をお届けいたします!

どんな板が入っているかというと・・・

このような板が入ってるんですね。
木材なので節があったり曲がっていたりします。
写真の板は先のほうが曲がっているのがわかりますか?
最初に材料の選別をし、この板材を加工するところから始まります。

横から見るとこういう形、平ではなく角度がついています。
さらに厚いほうをカンナで削っていきます。

全部削るのでななく、角度をつける感じに削っていきます。
さらに板中央部分だけ若干細くなるように仕立てます。

わかりづらいですが、上の写真板の中央部分です。
定規に当ててるのですが、真ん中だけ細く弓なりになっているので隙間ができます。ほんのちょっとなんですけどね。

次は端部を加工してきます。

何やら下書きをしてますね~、これが。

こうなります。
実はこれ包丁で削り落としています。『爪とり』と呼ばれる作業です。
ここ、かなり技術がいるところで、とっても難しいんですよ・・・

一回で手早く落とすことが求められます。
一級技能士の試験では、この部分を畳と別に一つ作り提出するのですが、それくらい重要な作業です。

反対側は畳の仕上げるサイズに切り落とし同じように削ります。

・・・え?
なんでこんな事するのかとお思いでしょうが、その思いはどうか胸の奥にしまってください、この先はその連続になるですから。

次は板に穴を開けていきます。
均等に開けなくていけないんですが、なんとびっくり藁床を縫ってある糸を活用して均等に印をつけます。

いやはやびっくりです。
こんなに簡単に均等に振り分けるとは、よくできてますねぇ・・・
印をつけたら後はひたすらキリで穴を開けます!!

いまどき手動です!!

しゃりしゃり~~!!
実は下準備まだ終わりません。なんて手間がかかるんだ、板入れ・・・
次はこの板を固定していきます。固定と同時に仕上がる畳の寸法が決まってきます。
この辺から板の役割が見えてくるかもしれません。

ひとまず仮止めをして、寸法を確認していきます。

しっかり寸法を確認する齋藤くん。

ちょっとひと手間、後で位置がわかるように印をつけてます。
で、だいたいこんな感じに仕上がってくるんですね~。

畳の短い辺、框(かまち)と呼ぶのですがここに板が入ります。
畳表を巻き付ける辺ですね。板を入れることによって角か立ちビシッとした仕上がりになるんです。
板がない畳は年月が経つと角が丸くなってきます。当然見栄えもよくないですね。
板があることによって角が長年保たれるという寸法です。

板の外側で藁床は切り落としてしまいます、よって板の配置で寸法が決まってくるのでしっかり確認します。

そして!切る!!

切る!!!

きーーーーる!!

出来ました。
これ、結構きついんですよ。。。
しかも、包丁がしっかり研がれてないと綺麗に切れないので。

次はいよいよ板を縫い付けていきます。
先ほどキリで開けた穴は何のためかと言うと、

縫い付ける為の穴だったんですね~。
針一本通るようになってるんです。

一見、しっかり固定されている様に見えますが、このままでは締め付けがまだ不十分です。
こっからがまたハードです。

藁床をひっくり返して、

かかとで・・・

蹴る!!

で、けったと同時に糸引っ張る!!

普段は畳を愛する我々ですが、この時ばかりは親の仇のように蹴って蹴って蹴り倒します。

ここまでやらないとしっかり固定できません。
しっかり締め付けるのと同時に板分の厚みがでてしまうので、藁床自体をうすくしています。
藁とはいえ硬い藁床をつぶすのですから、激しい作業になります。
次は板を切ったあまりの部材を以下のように切ります。

『詰め板』とよばれ四隅にそれぞれ入れていきます。
『爪とり』で細くなった板を補強する部材ですね。
板は固定できたのですが、板の厚みで段差ができてしまうので、『い草』を段差がなくなるように配置して止めていきます。『板脇』と呼ばれる作業です。

なるべく足触りがよく、滑らかになるように入れていきます。
経年変化も予想して少し多めにいれるのがポイントですね。

こちらも動かないように軽く糸で縫い付けていきます。
そしたらいよいよ畳表を張り付けていきます!

畳縁を縫い付ける前に、『口ござ』と呼ばれる細いござを縁の下で畳表と藁床の間に入れます。以前ブログで張替えのひと手間として紹介しました『口ござ』これの先っちょを薄く削いで『爪とり』した形状に合わせることで段差をなくすことができるんですね!

次は『刺し藁』、どうしても凹みやすいのですこし藁を差し込みます。

表で具合を確認し。

横から差し込む。

余分なものは切り落とします。
次はいよいよ縁付けの作業平刺し縫いです!

縫い始めの所、『手元』と呼ばれるんですが、そこには板が入っていましたね、縫い付ける場所を確保するために『爪とり』をして板を削いだわけです。
刺し藁は平刺しで糸を締める時に凹まないように入れてあるのです。
やっとここでこれまでの作業の意味が回収できました。

そして、今回は一級技能士の試験内容に順守した作業なので平刺しを縫い付ける感覚が短くなってます。
つまり、その分手間がかかるということです!!!

定規は尺貫法なので八分すすんで上から下げて、三分で下から上げる。
これの繰り返しですが、なかなか終わんないんですよねぇ!!!

縫い終わったら畳表の外側を包丁で落としていきます。

がんばれ!!齋藤くん!!
この後、縁を返して、返し縫いをし、畳をひっくり返して返し締めをします。
この辺は普通の畳の作業と一緒ですね。

框に巻いた畳表を縫い付け、隅を仕上げたら完成です!!

できた・・・

わかりますかね、この角が立った感じ。ビシッとしてます。

なんとかできました。
ちょっと失敗したところがあり、刺し藁が甘く、少し凹んでしまいました。

この具合が難しく、先生にどうしたらいいか聞いたら、

「なれるしかねぇ。」

で、ですよね・・・
頑張ります。

お疲れ!齋藤君!!


『西田畳店』創業140年。
『リフォーム二シダ』内装全般なんでも。
西田光二
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